二村さんの娘さんの大学卒業記念製作がきっかけで、50t用の重油
タンクを茶室に設えた。その"襾囲庵"茶室開きの日を迎える。

朝早くから、工場長と二村さんが庭掃除と蹲などの設置をして、水
を撒いてくれた。点前の準備をしてから、昼食のため魚仙へ向かう。

紅媒先生と大阪と甲賀の稽古仲間に加え、流派は違えど茶会の好き
の友だちなどをお呼びした。12名が一同に会して、初顔合わせの方
々を紹介する。茶を愉しむ同志なので話題には事欠かなかった。

定員は4名、一席の時間を40分間として5組の予定。午後一時開始。

客は、陶器で作った飛び石を歩いて、蹲で手を清めてお席入り。

躙り口から入る。扉を閉めると程よく密閉感があり、鋼の濃淡が落
ち着いた空間を生む。高い天窓と、躙り口近くの丸窓からの自然光
で明るさは充分だが、大津ロウソクの炎の揺らぎが動きを作った。

花は満開のミツマタと蕾の椿、花入れは山田浩之のオランダ焼。

香合は小林勇超、沈香を主とした練香は私の自作。水指は杉本祐、
茶碗は山田浩之・杉本祐・奥田英山・谷寛窯の信楽焼に、蕨と土筆
を描いた京焼を一つ入れて華やかさを添えた。

パーツを細かくして焼いた陶器タイルで置き炉を挟み、置き炉の枠
を削って、高台寺蒔絵の炉縁をはめ込んである

先生からお祝いに頂戴した中棗は、立雛蒔絵。茶杓は節が五つある、
銘・五福。抹茶は朝宮の"かたぎ古香園"の翠峰。

小林勇超先生と、近所の重鎮ヒサコさんで昔話に花が咲いた。初席
から、初体験のご家族の最終組まで、全席予定時間を大幅に超過し
たのは、お客様に充分楽しんでいただけたということだろう。

2024.0319