近江の海(み) 夕浪(ゆうなみ)千鳥  汝(な)が鳴(な)けば
 こころもしのに いにしえおもほゆ   万葉集 柿本人麻呂

琵琶湖の夕暮れを見ると思い浮かぶ句だ。(左の写真は朝日だけど。)
町内会役員の打ち上げのため、夕刻『旅亭 紅葉』で皆と合流する。

私はこの役で、納涼祭のたこ焼きを焼いた事しか思い出せない。
立派過ぎる最上階のお部屋と会席料理は、一年間の仕事に対して
不釣合いではないだろうか。ここにも座ってよいものか暫し眺める。

  矢橋の帰帆・比良の暮雪・粟津の晴嵐・三井の晩鐘
  石山の秋月・堅田の落雁・唐崎の夜雨・瀬田の夕照

『近江八景』は、安藤広重の版画で有名になった。
皆は今日、この中の三井寺を中心に散策して来たらしい。

この旅行の企画をしたSさんは、パワー溢れる女性だ。信楽まで私
を迎えに来てくれた上、翌朝は「露天風呂で朝日を見ています」の
携帯メールで起こしてくれる。夜遅くまで話していたのに元気だ。

豪華な朝食の後、異人館巡りと南京町の神戸へ向かう。

旧サッスーン邸の木蓮が、青い空に映えていた。
私は白い木蓮が好きだ。見ているだけで心が晴れやかになる。

数日前から”豚まん”を切望していたSさんの目的の店「老祥記」
は、長蛇の列だった。こんなに並ぶのはイヤだ、しかも豚まんだし。

路地を入った店で、ラーメンと点心にする。だが、豚まんを諦め切
れないSさんは、一個注文し とても美味しいからと勧めた。
「杏仁豆腐なら食べられるけど・・」と答えると、彼女は私たちに
これを、自分には更に一個豚まんを注文したのだった。

2004.0318