信楽は、春の”陶器まつり”がようやく例年行事として定着してき
た事と天候に恵まれたことで、連日観光客の車で渋滞していた。

陶芸作家たちが、作品または商品にならなかったモノを安価で販売
するテント村に出掛けた。楽しみがある反面、個展で購入したのと
ソックリなのが、とんでもない価格になっているとガッカリする。

Yさんに「こんなに安くした急須を売るの!?」と抗議する一方、
思わず手に取ったコビキの大鉢と黒釉薬の湯飲みに「両方、千円で
いいよ」と言われると、にっこりしてしまうゲンキンな私だった。

プラスガーデンにもB級品が産まれるので気持ちは分かる。しかし、
それを安く流すことは、今までご購入していただいた方に対して失
礼だ。この一線だけは守って当然と自負している。

ハッとする魅力的な花入れと徳利があった。よく知る陶芸家から、
一年前に独立したと青年は言った。独り占めをしてはいけないと
花瓶しか買わなかったが、好みの作家を発掘した嬉しさがある。
  
  
翌日は、専務と名古屋の大須観音商店街へ出掛ける。演芸場の前を
通ると、煙草片手に雪駄を履いた浅香光代似の女性が、開場を待つ
ファンと話している。この情景だけでも昭和を見る思いがした。

銀座にも進出した有名な『コメ兵』には興味がないので、専務とは
別行動をとる。万松寺通りと東仁王門通りだけで時間が経った。

イタリアンバイキングで昼食。パエリアとスパゲティの間に、海老
フライの大皿がある!(エビフリャーと発音するらしい)

懐かしい店構えの呉服店、ういろ屋、履き物店、射撃場、多国籍料
理、雑多な商店街の合間の細い路地が、一幅の絵画のように見える。

2006.0508