結婚式に参列した。晴れ渡った大阪湾が眼下に広がる49階。

白いベールに透ける花嫁の華奢な背中が美しい。今まで見た中で、
一番華やかな笑顔に見とれてしまう。感動したのは私だけじゃない。
式の始まる前から涙ぐんでいる花嫁の友だちもいる。

お祖母様は「なんだか取られるみたいで哀しいわ」と、お母様は
「名字が変わるのが淋しい」と、それぞれ私にささやかれた。

私も、自分の娘の時にはそんなふうに感じるのかしら。今ひとつ実
感が湧かないのは、とうに家を出て生活しているせいだと思う。


結婚が人生のゴールだと思っていた若い頃の私、それからの事なん
て考えたことがなかった。いや、何につけ思慮が浅かった。

結婚式にはあまり関心がなく、婚約・結婚指輪はいらないと云った。

すると「結納時の三方に置くモノが無い」と婚約指輪を義父が、
「指輪の交換はメインイベントだから」と、結婚指輪は義姉が買っ
てくれた。(つれあいは新婚二日目でこの指輪を無くす)

半年ほど経って友だちから「飛行機で帰るのに」「振り袖なのに」
と聞くまで、引き出物が電気ストーブだと知らなかったし・・。

以後、結婚式の度、花嫁は総じて自分よりしっかりしていると思う。
引き出物も納得がいく。今でも少し羨ましい気がするのは、『なけ
なしのお金で買ってくれたエンゲージリング』というストーリーだ。


料理長が、フルコースに出す有機栽培の野菜を豪華な食材と肩を並
べて説明されたのは、”時代”だろう。美味しい料理とワインで会
話も弾む。結婚式は招かれた者にとっても幸せなひとときである。

2008.0918