昭和15年に、琵琶湖北部に位置する葛籠尾崎の湖底で見つかった縄
文土器の壺の写真が、小学生の頃から強く印象に残っていた。

最終日の”水中考古学の世界”を見に行く。

琵琶湖開発事業によって、旧石器時代〜弥生・縄文時代にかけて湖
底・湖岸遺跡が、約100箇所点在している事が明らかになった。

特に驚いたのは、古墳時代の船着き場の遺跡が現れたことだった。

これら湖底での遺跡発見の要因となったのは、水位の上昇と下降、
地面の隆起と沈降、大地震など諸説あるが、未だ解明されていない。

おだやかな湖面に見えるけれど、湖底に渦巻く流れや、温度差の大
きい水温など、知れば知るほど不思議な湖なのだ。


なので、帰りに『琵琶湖水低の謎』 小江慶雄著を探そうと図書館へ
行くが、ロビーの”豆本の小世界”という展示で足が止まる。

宮尾登美子自身のキモノで作った本。美輪明宏の本は、蓮を彫った
銅板が表紙に付いている。吉行淳之介のは、鹿皮に可愛い模様の印
伝仕上げ、見返はフランス製のマーブル紙だ。懐かしい柄・・・。

「わぁ!」「素敵!」を質問の間に挟んで繰り返すうちに、コレク
ターである50代半ばの男性は、次から次へとガラスケースから出し
て見せてくださった。34年かけて集めたという珠玉の豆本の数々を!

一番興味を惹いたのは、赤江瀑の『五月の鎧』『野ざらし百鬼行』
だ。墨の字は良いし、篆刻も面白い。後表紙には蛇皮が貼ってある。

「これは豆本の世界では有名」とおっしゃるが、何も知らなかった。

すっかりハマってしまい、図書館へは入らず、コレクターに豆本の
詳しい資料をもらって帰る。夢のような日曜を2日過ごした気分だ。

2009.0906