昨年、大学創業370年目に入学した次男は、親も参加出来る記念事業
が目白押しだったにも関わらず、ちっとも誘ってくれなかった。

かといって私にも時間の余裕はなかったが、せめて本人は好奇心を
持って積極的に参加すれば良いのにと思う。

「スポーツと受験勉強で燃え尽きたあと」と言う次男の成績表が送
られてくる。同じ時送られてきた学内季刊誌を開くと、昨秋に逝っ
た加藤和彦の写真が目に入った。


サディスティックミカバンドを立ち上げた時の加藤和彦を、高校生
の私は、なんてオシャレな人なんだろうと思った。ミカも同様、こ
んな人たちが京都に居たなんて・・・と衝撃を受けた。


この追悼エッセイを読むと、加藤和彦の学生時代を知る事が出来た。

『MEN'S CLUB』の読者欄でフォークコーラスのメンバーを募り、曲
を作る。ただ純粋に面白いこと、楽しいことを音楽に詰め込む毎日。

メンバーの北山修が父親から30万円借り解散記念のレコードを作る
が、少しも売れない。借金返済のため必死で売り歩くうち、関西ラ
ジオから火がついて、あっという間にデビューすることになる。

河原町をぶらぶらしていて知り合った松山猛との出会い。コックと
して就職先もほぼ決まっていた加藤和彦が、北山の再三の説得に応
じて大学を中退するくだりなどを興味深く読んだ。


彼らと現役学生は、40年以上の隔たりがある。安易に比べることは
しない。蕩々と時代は流れていくものだなぁとは感じる。

しかし、加藤和彦のモットーだった「後は振り返らない。同じこと
はしない。」その精神は、未だ私を魅了する。

2010.0331