初釜からしばらくぶりの、お茶の稽古だった。

床の掛け軸は、立雛一対。茶花は蕾の白梅と、少しほころびかけた
ピンク色の椿”侘びすけ”。「今年の梅は(開花が)遅いですねぇ」
と、Sさんが鋏を入れながらおっしゃった。

先生はインドから、Sさんは沖縄の島々から、それぞれ戻られたば
かりで、おみやげの菓子を四方盆に盛られた。

『12年ぶりのインドは、随分と近代化が進んだように見受けられた
が、タージ・マハールへ行くバスが2,3時間遅れて来た上に、目的
地に着くのが予定より7時間もオーバーしたのは相変わらずだった』

このような話を聞きながらいただくお菓子は、はるばるやって来た
感がある。しかも摩訶不思議な味だった。強いて言うなら、屋台の
綿菓子を固めたような甘さと歯ざわりと匂い。

沖縄本島以外の島々をのんびり回った様子もお聞きする。広々と拡
がる海を想像しながら、黒ゴマの煎餅状のものをいただく。


手を付いてお辞儀をした後、頭を元に戻す速度が速いと先生に指摘
された。稽古を終えて、やれやれと思った安堵感から偶にしてしま
うのだ。もういい加減、子どもっぽい癖は直したい。


Sさんに所望してお床の花をもらって帰った。

長女の友だちが遊びに来る。五月に結婚式を挙げるそうで、見るか
らに輝いている。お祝いに、我が家で一緒に夕食をとることにした。

早いうちから飲みかけたので、4人で少々のビールと3本半のワイン
を摂取して終了しても午後9時半だった。

娘たちの笑い声と活気のせいか、瞬く間に二つ三つ梅の花は開いた。

2012.0318