展示会で一番のヒットは新製品だったが、次はマクラメハンギング
が人気を博し、注文数は大小合わせて500本を超えた。

二村さんは「鉢との組み合わせでしか販売しない」と言ったけれど、
マクラメだけの注文があると確信していた。この展示会に限っての
受注にしたのは、二村さん一人が作っていたからだ。

案の定、連続五人のお客様が「マクラメだけの購入」と言われた時、
二村さんの決心は翻り「ご注文は1本からでも。純国産です」と開
き直った。私も内職の見当をつけていたので注文は漏れなく取った。


帰宅すると、地元神社の祭の宵宮。長男と婚約者、長女夫婦、次男
が次々帰ってきて食卓を囲む。長男と次男は夜遅くまで酒盛りをし
た。誘ってくれても、連日忙しかったので体力は限界だった。

翌日は青竹祭り。九年に一度回ってくる神輿を孫が担ぐものだから、
祖母はデジカメ片手に嬉しそうだ。

集めたら、けっこう地元にも若者がいたのだなと頼もしく思う。

こんな機会がなければ、一緒に登校していた年代が揃う事などめっ
たにない。何十年ぶりかの再会があちらこちらで見受けられた。

私も久しぶりに花奪いの行事などを見た。数本の真花と粽に入った
樽酒
の当たり籤にも恵まれたので、父の仏壇にお供えした。


翌朝、長男は自分の結婚式用に、小さい頃からの写真を出して欲し
いと言う。猛暑のなか、離れの二階物置に行く気力が湧かない。自
宅にあるアルバムと写真屋で撮った記念写真から選び出す。

そんな中で、幼い頃の次男の絵が見つかった。まったく覚えのない
18年前の贈り物を廊下に貼って、通るたびに眺めて涼をとる。

2015.0724