石山商店街にある『こうちゃん』は、私たち家族が大津に住んでい
た頃は食堂だった。

当時50歳くらいの店主「幸一」さんが、朝、琵琶湖で釣ったブラッ
クバスの煮つけや手製の鮒寿司をメニュに載せていた。幼稚園児だ
った子どもたちは、お気に入りのファミリーレストランとは全く違
う料理なので、不承不承ついて来ていたのも懐かしい。

先日、主人と約30年ぶりに前を通りがかったので、思わずのぞいて
みた。何もかも昭和の風情の店内には、4人の客と女将さんがいた。

メニュは80歳前後の女将さんの作れる範囲になっていた。注文した
材料がもう無いと聞いて、先客が自分の卵焼きの半分を私にくれた。

「幸一さんが亡くなって13年になり、娘は嫁に行った」と常連客が
話してくれた。順番に1曲100円のカラオケで唄っている。変わる
ことのない人情や店のしつらいに、安心感と郷愁が混じっていた。


会社は今月、延べ床面積約500坪の倉庫社員全員で片づけた

まず、使うことの無い型を捨てた。次に使途不明の商材を捨てる。
食器植木鉢などは店に並べる。作り過ぎた商品とB級商品はパレ
ットにまとめて積む。すると目に留めた問屋さんが買ってくれる。
整理整頓は得をする。今後の仕事場も能率が良くなるだろう。

と簡単に書いたが、500坪に25年放ったらかし状態だったのを片づ
けるのだから対象は山積みで、根気よく取り組まなくてはならない。


"あっという間に30年経っていた"を、会社でも『こうちゃん』でも
実感したところだ。会社は、日々新しい気持ちが保てるよう整理整
頓を常としたい。

2017.0928