家で不要になったものは離れ座敷に持っていく。その吹き溜まりを、
春を待って長男と主人が片づけだした。

「一度見に来て判断して」と言われたのは、私の婚礼布団と、独身
時代の本や手紙・日記、大津市に住んでいた頃の食器類だ。それら
はすべて見ずに捨ててもらうことにした。

捨てがたいのは、塗りの一人膳10客分と囲炉裏端だ。今どき料理旅
館でさえ椅子席だ。私も正座は茶道の稽古で充分だ。囲炉裏端は設
けたとしても何度使うか検討はつかない。けれど新品だし・・・。


今年の京都の桜は開花が早く、3月の中旬にはちらほら咲き始めた。
孫は「桜が咲いたらオッパイをやめる」と約束させられていた。

咲いたのを見てから一度も欲しがってないそうだが、先日、私とお
風呂に入った時、手で触れてから少しだけ吸って、はにかんだ。

やはり、お母さんのオッパイが恋しいのに我慢してるんだな。
2歳3カ月での試練を不憫に思う。

ドイツに嫁いだ娘を持つ知人から「日本と違ってドイツでは気が済
むまで吸わせるの。7歳の子でもね」と聞いたのを思い出し、曽祖
母にあたる母に話すと「あなたは5歳まで吸ってたわ」と答えた。


日曜日、二村さんは家の菩提寺である東本願寺に一人で参拝した。
本堂に入ると、なんと高山さん夫婦が座っていた。この偶然!

二村さん高山さん私の三人で一つの部署にいる。毎日他愛のない話
をしているが一度も『東本願寺』の話題は出なかった。実家は名古
屋なのに?たまの京都観光になぜ東本願寺?しかも同じ時間帯に?

このミラクルは、何かの吉兆だと思いたい。

2019.0331