『判取帳』の存在は知っていたけれど、まさか今日出会う事態にな
ろうとは思ってもみなかった。

判取帳とは金銭等の支払い時に受取人が金額と名前を記入する帳面
のことだ。厚紙の表紙に、和紙でタテ書きの紙面を差し出された。

FB(ファームバンキング)を導入して10年以上になるのに、世間
にまだこのようなアナログ最たるものが残っていようとは・・・。

宛名だけ書き入れた領収書を持って来たが、判取帳なら印紙は要ら
ないのだと察する。


先様の経理のおばちゃん(70代)は、「最近の若い子はフツーの数
字を書くから、それでもいいで」とおっしゃった。ざっと見返した
ところ、アラビア数字を書いているのはウチの会社だけだ。

今まで担当社員Yさん(昭和40年代生まれ)が、最近は社長(昭和
30年代生まれ)が集金に伺っていた。そういえば、むかしYさんが
数店の屋号を挙げ「ここは苦手だ」とこぼしていた覚えがある。

今、町内を廻っている他店の集金係の方々はお幾つなのだろう。

とにかく私までアラビア数字では面目が立たない。早速、他の方の
記入に倣って『一金、十六』と書き出したら、おばちゃんが「ほん
まは、"十"はこの字やけどな」と"拾"の字を指さした。

なかなか奥が深いなぁ。「漢数字を勉強します」と項垂れる。


会社に帰って調べたら、漢数字じゃなく『大字』というものだった。
社長は、アラビア数字は上から直せるからと理由だけは知っていた。
町内では、まだ2社ほど判取帳を使う店があるらしい。

絶滅するまで、正式な書き方で付き合うべきではないかと思う。

2019.0508