オミクロン株のコロナ禍での展示会は、出展業者もお客様も去年よ
り少なめだった。入口では検温以外に、全身に除菌のミストを浴び
る機械があり、"対策は万全"を印象づけるものだった。

園芸業界は好景気の部類に入る。春を待ち望む心境だ、明るい色調
を中心に
去年と同じ売上になったのはありがたい。


長女が久留米に移り住んで三年近いのに、まだ訪れたことがなかっ
た。孫のピアノの発表会に合わせて、初めて遊びに行く。寒波や
JPCZの影響による大雪のため、京都駅発の新幹線は20分遅れだった。

主人は過去に九州担当の営業をしていたので、博多駅からのレンタ
カーの手配を任せていた。けれど、今や博多ー久留米間は新幹線で
15分の便利さになっていて、若干の浦島太郎気分を味わったようだ。

5歳の孫はよく動く。母親に強要されてしぶしぶ一度だけ課題曲を弾
いてのちは、プラレールを組み立てていた。それからクルマで5分の
会場へ向かう。エントランスでは走り回る。発表会はトップバッタ
ーなので、早々に退散すれば皆に迷惑はかけないだろう。

長女は白いスーツを着るか迷ったそうだが平服にした。時勢のせい
なのか地域柄か、演奏者以外は平服、またはトレーニングウェアの
ような恰好の人ばかりで、昔の発表会のイメージは無かった。

発表会の始まる直前、係の人が「譜面を見たいと言ってますが・・」
と長女の元に来られた。今さら何を!さっきも見ずに弾いていたで
はないか。「いらない」を真に受けて持参せずに来た親も親だけど。
などと思ったが口には出さず、聞こえぬふりをする。

孫は無事『聖者の行進』を弾き終え、深々とゆっくりお辞儀をした。

2022.0208