京都のアンティークフェアに行く。骨董なら何でも貪欲に見た時も
あったが、一度ゴミに見えるとゴミにしか見えず、お宝発見と思う
ものは気軽に買えない。欲しいか否かと考えるのは要らないものだ。


あっ!と思うものに引き寄せられる。アフリカの骨董屋さんだった。

赤い小さな仮面は、ユーモラスで可愛い。これは何に使うものなの
か。「嫁入り道具です」とにこやかな接客の彼は、「自分を守り、
相手の家も守る。顔に着ける面と飾る面の二種類がある。これは飾
る方」と続けた。魔除けじゃないかな。

「ハービー・ハンコックはこの面の収集家で、アルバムにも使って
いるんだよ」と、ジャケットのコピーを見せてくれた。

彼、ISSAさんは一茶と日本名の名刺を出した。絣が好きだから、自
分でTシャツやジーパンにパッチワークをしたと誇らしげに話す。
そう、昔からどこの国でも、継ぎ接ぎして暮らしてきたんだよね。


次に目に留まったのはブルーの指輪だ。「トゥアレグって石の名前
?」と聞くと、民族の名前で、指輪の刻印の紋章は家紋とのこと。

トゥアレグ族="青の民族"は有名で、ディズニー映画の『アラジ
ン』の衣装やアクセサリーは、すべてトゥアレグ族のもので撮影し
たそうだ。藍をまとっている民族だから、砂漠では一目で分かる。

小さい頃から、青色とラクダのモチーフが好きだった。私、もしか
したら前世はトゥアレグ族だったのかもしれない。最初の『ベルベ
ル人の面』を懐かしく感じたのも、私のものだったからじゃない?

心残りは楕円形の大きな洗濯椅子。座り心地が最高だ!大雨の川で
も流れないとアピールするけれど、日本では洗濯には使わないのよ。

2022.0628