7月に入り、リチウムを使う釉薬が値上がりすると、まず1社の釉
薬会社の担当者が言いに来られた。原因は戦争でリチウムの流通が
少なくなり、且つ電池に消費されるので品薄になるからとのことだ。

他の3社からも見積書が届く。提示価格が最大3倍に対し、1.3倍で
止まる会社もあり、どのような算出方法なのか各社に聞いてみたい。

リチウムは主に焦げ茶色系に必要らしい。さしあたりどうするか、
次回のカタログの価格など、皆で試行錯誤して対処していきたい。


見本市を一週間後に控え、二村さんの作った花器が焼成中に割れた。

乾燥が足りなかったためと思われる。このために1mを越すナツハ
ゼなどの枝ものを注文していたので多少ガッカリする。高山さんは、
「倍のものを作ると技術は4倍要る」と名言めいたことを言った。

しかし、こんなこともあろうかと二村さんは他にも用意していたし、
私も同程度の大きさなら如何様にも活けられるので、特に問題ない。

世間ではカラフルな鉢が流行っているそうだ。今使える釉薬で需要
に応えるものと、新しいものを試していくことが大切だと思う。


茶会以来、ひと月ぶりの稽古は、『葉蓋』と『洗い茶巾』だった。

水差しの蓋を葉にするのが『葉蓋』で、通常、梶・桐・蓮などを用
いる。葉上の水滴を、コロコロと転がせながら捨てるのが風流だが、
今日用意されたのは、弾かず水滴が出来ない桐の葉だった。

先生が「梶の葉は、むかし葉裏に字を書いたのですよ」とおっしゃ
った。どんな葉か、後で調べよう。塩芳軒の干菓子を口に入れる。

外は雨雲。茶巾を絞る水の滴る音が、金盥に響いて涼しく感じる。

2022.0718