夕食を終えて、歩いて2,3分の神社へ行った。

奥まった境内の、中程に流れる浅瀬の川に 無数の蛍がいる。
ここに生息しているのは、源氏蛍だ。

今夜は月が明るい上、立ち並ぶ石灯籠の灯りも邪魔をしている。
川向こうの暗闇まで、ふわふわと飛んでいるのが見える。
繁る大きな木の、あちこちに光るようすは『もちもちの木』の
挿絵を思い出す。

幼い頃、闇がこわくて 蚊帳の中に蛍を放してもらったものだ。
「光を追いつつ、眠りにつく」なんて、もう一度してみたいな。

赤い釣り手に緑色の蚊帳は、あの闇と燭台の灯りがあってこそ
美しい色だと思う。
今ならさしずめ、藍色から白のグラデーションだろうか。
それでもやはり、闇は要る。

蛍を手に取ると、夏のけはいの匂いがした。

3日後から、関西も梅雨入りらしい。

とりあえずは、糊は付けない 乾いたままの麻のシーツさえあれば
良しとしよう。

2003.0608