友人のコモリ君は、重役昇進祝いにお母さんからゼニアのスーツを
プレゼントしてもらい、格子模様に、またポケットを大きくと皆の
意見を聞いて誂えた。出来上がったのは、昔TVで見た人形を使う
腹話術師を思い出させた。本人がそう思っては着れたものではない。

秋の『信楽陶器総合展』は、今日から開催されている。

今年の弊社の出展作品は、山里に流れる川を連想させる、全長1,5m
に及ぶ長方形の陶器製の箱2本を組み合わせた”箱庭”である。

意見を出し合いホワイトボードに描いた製図を渡したにも関わらず、
出来たものは、予想と差があった。「ケイコさんは見ない方がいい
です。」と二村さんが忠告するので、そのまま2週間を過ごした。

シャープさに欠けるとは想像がつく。制作者のマサちゃんが見たか
と自信満々に問うたが、「まだ。感性がオカシクなるかもって言わ
れてるから」と答えると「言うてる意味が分からん」と首を捻った。

他人の無駄遣いは面白いけれど、ふんだんに使った土といい、失敗
なら半端な散財ではない。代替えも考えなくてはいけないのだ。

下見の際「植え込みでどうとでも成る」と力強くおっしゃった並川
先生のもと、柿の木や山野草などを調達して皆で設営した。

設計図に不備があり、現場で”陶器にドリルで穴を開ける”という
荒技もあったが、何とか事なきを得た。最後に、考えた漢文「集水 
集秋」を書道6段の若杉さんが書き、審査を待った。

結果、入賞できなかった。その理由に『完成度が高く、一目で加陶
のだとわかる。毎年入賞しているから今年はいいだろう。』という
意見が占めたらしい。来年は、審査員を全員一新すべきだ。

2005.1008