上空から見たヴェトナムは、泥水の川が森林の合間を縫っていた。

機体がホーチミンの空港に近づくあたりから、森と見えた一面には
赤茶けた道があり点在する平屋の小さな家が見えた。

1人から4人乗りのバイクの群れが走る。通勤時間帯は埋もれるほど
の数だ。夕涼みの散歩もバイクという。幾つかの陶器工場を回った。

一番驚いたのは、巨大な登り窯の炎を見た時だ。兵馬俑の発掘現場
のような深く掘った地下から２階建て位の高さまで、何段かの高低
差のある窯は神々しくさえ見えた。これは世界遺産だ！と感激する。

薪はラバーウッドと聞く。焼成温度は同じ1250℃でも、木の素材に
より焼具合が変わると二村さんは言うが、ナニがどう変わるのか。

知り合った何人かのヴェトナム女性と、ヴェトナム語の本を指さし
片言の英語と身振り手振りで話す。人懐こい笑顔と別れ際の少しの
淋しさがよぎる顔に、誠実で優しい人柄を感じて心が和んだ。

世界の工場が中国からヴェトナムに移っているそうだ。丁寧な仕事
ぶりを見て、国はどこにしろ、クオリティが求められる時機にきて
いると思う。

連日ホテルかガイドブックに載る店での食事だったので、女性バイ
ヤーと最後の夕食を街の食堂でとる。少しの冒険はしてみたいもの。

彼女は豚肉の私は牛肉のフォーにした。濃い牛肉の味、あっさりし
た透き通るスープ、それにレモングラス・香菜・ライムなどの口を
爽やかにするトッピング。とても美味しくて25,000ドン（175円）。

けれど工員さん達の昼食代が約30円というから、意向に反して、こ
こは真っ当なレストランに類するのかもしれない。

2008.0627