仏像崇拝主義ではないけれど、ポスターを見たとき「これは逢いに
行かなくちゃ」と思ったのが青蓮院の青不動明王だった。

「自分のことに一つ、荒んだご時世だから世の中のためにも一つ、
願い事をしてください」と、ご門主の言葉である。

それにしても、平安時代から現在に至るまで3度しか公開されず、
青蓮院では初めてのご開帳とは、どんな歳月の扱い方だろう。

数年前「奈良屋杉本家」を訪ねた時に、奥様が「この家はハマグリ
ゴモンのヘンで焼けたあと、建て替えたんどす」とさらっとおっし
ゃった。そういう土地柄だから、さもありなん・・・か。

紅葉はまだ、ぼんやりと赤くなりかけた木が1本あるきりで、緑の
葉が眼に鮮やかに写る。修学旅行生の制服が暑そうに見える気候だ。


坂を下りて、9月にプラスガーデンの展示会を開いてくださった山総
美術へお礼に行き、隣の『ロロ』でわさびクリームパスタでランチ。


友人のFさんはおしゃべりが目的だから、今日は私の行きたい処へ
付いてきてくれる。デザートだけお勧めの『鍵善良房』で葛きりを。

「蜜の甘さと、くずの淡泊さが、舌の上で冷たくまぶれて、つるり
とのどへ入り込む」という水上勉の栞の文章を読む。”まぶれて”
の言葉に、懐かしい骨董品を見つけた時と同じような気がした。


敷居の高い骨董店のショーウインドウに、信楽焼の壺を見かける。
こんな壺は、現地にいても到底お目にかかれない。

お土産にはマカロンを。Fさんちは花のようなお嬢さんが2人居るか
ら似合ってる。ウチの息子たちは豆大福の方が喜ぶだろうけれど。

いただいたお札型お守りを手帳に挟んで、至極満足な一日を終えた。

2009.1025