今春、お茶の先生が、ご主人とイスラエルへ旅行された。ホテルの
前が死海で、「入ると身体がプカプカ浮かぶんですよ」と楽しいみ
やげ話を聞いた。

どこへ旅行しても、茶道で使えるものを探してしまうとおっしゃる。

ツアーの中で連れて行かれる店より、市井の店を覗いて見つける方
が楽しいに決まってる。

先生はふらりと入った店で、ザクロの形をした入れ物と出会った。
とても綺麗な赤色を魅力的に感じて。

「実の先のギザギザした一片に修理の跡が見られたので値切ると、
作家のサインもあるって見せるのよ。」と笑いながら見せてくださ
った。少しの攻防の後、希望の価格で手に入れたということだ。

帰国後、花を入れたところ水漏れしたというので、ウチの会社の花
器用シリコンで止まればと申し出る。


今日は”花月”の練習だ。小さな札を折据(折り紙の箱)から順に
取る。”月”の札を引いた人はお茶をいただき、”花”の札を引い
た人はお手前をする。それ以外の”数字”を引いた人は見ている。

見るといっても、すぐに折据が回ってくるので気が抜けない。皆が
集中する静かな間に、ヒグラシの声が。続いて虫の声が聴こえた。

夏から秋へ移るこの時季、毎年味わう寂しい気持ち・・・。


稽古が終わって、「今朝のニュースでイスラエルがガザを空爆した
ことを伝えていましたね」と先生がおっしゃった。今となっては、
貴重な体験となった旅行に安堵されているご様子だ。が、

私は、どうと云う事のない普通の一日を、有難いと思う今宵である。

2011.0820