Mさんと、『お互い、春から秋までよく頑張った会』をしようと決
めていた。午後4時に信楽を出発して、関宿の『石垣屋』へ向かう。

荷物を置き、居酒屋を探しに外に出る。途中で、宿場町とは思えな
い、“英国式紅茶専門店”の看板に吸い寄せられるように店に入った。

主は英国へ紅茶修行の留学をし、ベルギーでケーキを学んだらしい。

ようやく店に現れた60歳すぎの女性が、エミコさんという主だった。

明日の朝食をここで摂ることにして立ち去ろうとしたら、エミコさ
んは「ウチでも食事出来るのよ」と、『亀山味噌焼きうどん』の看
板を指差した。しかし、今日の目的はお酒を飲んでの打ち上げだ。

するとエミコさんは、自動販売機でビールを買って持ち込めば良い
と言う。少し歩いて買いに行くと、それらはノンアルコールだった。

「やっぱり他所で飲んでから、戻って来ます」と言うと、エミコさ
んは「じゃあ、ウチの冷蔵庫を探してみるわ」と、店の奥へ入った。

赤ワインを手に出てこられたが、うどんとワインってどうだろう。

顔を見合わせていると、「じゃあ、私の行きつけの店に一緒に行き
ましょう!」と誘ってくださって、エミコさんの運転で出掛ける。

行き先を聞くと、30km戻ることになる、伊賀上野市だった。

生ビールと芋焼酎を飲み、ふぐ鍋を食べて、エミコさんに連れられ
カラオケへ行く。飲み屋の店主も店を閉め、私たちに同伴された。

エミコさんは美声で唱歌を。Mさんは27年間アメリカ暮らしだった
ので、選曲は30年前の歌。宿に帰ったのは、夜中の2時過ぎだった。

朝10時半、身支度を終えると、宿主に「ウチは交流を目的とした宿
やのに、おたくらとは、ほとんど交流出来なかった」とぼやかれる。

2013.1028