紫陽花を描いた単衣を着て、高槻の先生宅までクルマを走らせる。

今日の稽古は『大円の草』と『炉の初炭手前』のふたつ。前に座ら
れたNさんが「先月のお稽古は何をしましたっけ。わたくし、忘れ
てしまって・・・」と恥ずかしそうにおっしゃった。


夕べ、私は次男とワインを一本空けて、すっかり酔ってしまった。
次男が久しぶりに帰宅したからと言って、別に積もる話があるでな
し。けれど、とにかく幸せな気持ちでいたのは間違いない。

朝、流し台にある素麺を食べた形跡を洗った。

かまーとの森で開催している『杉本好夫・切り絵展』の杉本さんの
お嬢さんは、奈良県川上村の素麺を作るおうちに嫁がれている。

原料に吉野葛を入れているので、喉越しが良くツルツルしている。
一度食べたら他は食べられないという素麺を、昨日いただいた。

麺好きで麺をゆでるのを得意とする夫は、昨夜帰ってから作って食
べたのだ。次男もお相伴していたようだ。

起きてきた夫に「これ、美味しかった?」と袋を指して聞いたら、
「えぇー!一緒に食べたのに忘れたの!?」と呆れ顔になった。

太麺と細麺があり一般的に細麺が人気だが、製造元のお義父様は太
麺がお好みだそうよと解説したことまでは覚えているのに、自分の
口に入れた記憶が無いなんて・・・ショックだ。


二日酔いせず稽古も進むが、大きな忘れものをしている私にとって、
ひと月前の稽古内容を忘れたNさんの嘆きなど取るに足りない。

つゆに生姜を入れ素麺をくぐらせてと想像たくましくしても、一向
に先が続かない。

2015.0628