天ぷらにすると美味しいからと『ほうだいの芽』をもらった。初め
て聞く名だし見たこともなかった。田舎育ちなのに不覚である。

良い香りがした。「コシア、美味しかったよ」とメールを入れたら
「コシアブラって名前なんだよ。ほうだいの芽(コシア と途中で
印字が切れてるシールを貼ってるんだ、あの店は」と返信がきた。

街では高価と聞かされたせいか、信楽JAで同じ量を百円で売ってい
たのでタラの芽と共に4パックも手にした。2日続けて天ぷらか?と
自問する。どうして買っちゃったんだろ...。


『こだわり卵』を作る会社の社長さんと知り合って、黄身がオレン
ジ色の卵をかけご飯でいただいたら、小学生の頃の朝を思い出した。

支度に時間がかかって、毎朝同じ班の人たちに待ってもらっていた
っけ。少しでも早く食事が終わるように、朝は卵かけご飯かコーン
フレークと決まっていた。味の記憶は昔の情景までも連れて来る。

ご近所から筍や山菜をいただくので、今年は『こだわり卵』をお返
しに、卵屋さんには筍をプレゼントして双方に喜ばれた。


桜満開の写真がメディアを賑わせていた時期から大幅にずれて咲く
信楽の一、二本の山桜が好きだ。花びらが散るなかに立ってみる。

山の裾伝いに走ってMIHO MUSEUMに行きウチのギャラリーのDM
を置いてもらい、ついでに開催中の展示を観る。

『KAZARI』展で一番印象に残ったのは室町時代の木造の像で、嬉
しそうな若者の顔と躍動感に溢れた上半身、柔らかな動きを感じる
右腕だった。下半身が鳥の脚でも違和感ないのが不思議である。

そうしてしばしの休憩をし、ささやかな満足を買って会社に戻った。

2016.0428