西武大津店が、44年の歴史をもって今年8月で営業を終える。

開店当時、私は10代だった。滋賀県に新しいことや面白いことの発
信地が出来たのを嬉しく思った。京都まで行かなくても、そこそこ
遊べる感じだった。つかこうへい劇団の公演も見に行った。

ただ、滋賀から京都の学校へ通う生徒は多く、遊びも京都で済ます
のが常だった。県内の子は、ことさら京都へ出掛ける。これは私の
子どもの世代までずーっと続き、今も変わらないらしい。

つまり、若人の集客はそう望めなかったと思う。

しかし、子持ち主婦になってからは便利だった。子連れで京都へ行
くのは面倒だ。結婚してから大津市に住んだ8年間はよく利用した。

近所のスーパーや石山駅前商店街とは違って、お出掛け気分になる。
2歳の長女が、昇りエスカレーター前で靴を脱いだのは印象深い。

その可愛かった長女が大人になり、「知ってる?もう滋賀県に百貨
店は無くなったんだよ」と自嘲気味に言ったのは何年前だったろう。
西武百貨店はショッピングセンターに変わった。百貨店の定義は何
だっけ。それを不便に思わないほどネットでの購入に変わっていた。

当社に入り、十数年前から贈答品を送る手配をしている。他府県の
取引先には湖国のものを。西武から発送する中元は今年最後となる。

新聞によると、京都に近い立地条件は不利だったとあるが、時代の
役割は充分果たしたのではないかしら。

『高島屋でお買い物をして食事して帰る』が一番の愉しみだった、
母の娘時代から私の娘時代。それは大阪・京都の友だちにも共通す
る。せめて高島屋は存在してほしい。

2020.0608