甲賀市倫理法人会の年初の会に、七人の女性がスピーチをする。
ついては、講話者全員と役員はきものを着ることにしたので「am
4:30から着付けを手伝ってほしい」と年末にメールがあった。

私は40歳の頃、練習してどうにか着れるようになった。上手くいく
時もあれば前帯が波打ったり胸元が緩んだりする時もある。その程
度だから、手伝うどころか自分が当日集合のam6:30に着て行くだ
けで精いっぱいだと返信する。なのにどうしてもと押し切られた。

am3:30に起床し孤軍奮闘して会場に着いた。畳敷きの大広間には
すでに十数名いて、家から着て来た人がいたり、これから着る方の
振袖や帯などが拡がっていたりで華やかだった。


77歳のIさんのスピーチは、日本の高度成長期に合わせ夫の会社が
大きくなり息子に繋げた今、感謝の気持ちで恩返ししたい。まだま
だ学びの多いことを、この会で教えていただいていると述べられた。

孫のいる38歳のYさんは、高校卒業と同時に家を飛び出たので、今
日が初めての振袖姿とのこと。密度の濃い38年の歩みを5分間でま
とめ、ひ孫まで包む大きな親の愛に感謝を述べられた。


Aさんは誂えた自分のきものなのに、きもののたたみ方を知らない
と言った。還暦なのに!?驚きのあまり、Aさんの講話の内容は頭
から消えた。常時きものをお召しのUさんは笑っていらっしゃる。

実は朝、私も帯を締め直してもらった身だ。達観されているUさん
を見習い、Aさんのきものを黙ってたたんだ。帯は?とAさんが問
う。折り目どおりに折ればよいのよと答えて会場を後にした。

図らずも、このような流れで今年はきものでの初出勤となった。

2021.0108