先月、社会福祉法人『やまなみ工房』のヒルカワさんが来られた。

「シンガポール・パラリピアン交流とアートにおける共生社会の実
現に向けて」と題し、ビジネスモデル試行調査でレンタルアート事
業をするので、作品を置いていただきたいとのことだった。

『やまなみ工房』の彼・彼女らは、描きたいことを描きたい時にし
か描かない。人の眼を気にしない、媚びが無い、批評も受け付けな
い。魂の発露だ。

"アート作品がビジネスとして商品価値を持つ可能性を見出す"のが
目的らしい。年末に、50枚の作品一覧から、かまーとの森に相応し
い一枚を選んで連絡しておいた。


何年か前、近江八幡市でアールブリュット展が開催された時、ウチ
の店に来られた芸術大学関連の方が「障がいというメガネで、評価
が上回っている気がする」と話されたことがある。そうだろうか。

「鵜飼結一朗さんの作品はアメリカの美術館へ行きました」という
ように、評価は自ずとついてくる。それに私にとっては、健常者・
プロか否か、作家が誰か分からずとも、その絵・造形物が好みかそ
うでないかだけのシンプルな話にすぎない。


松の内が明け、複製・額装した中尾涼さんの絵を持って来てくださ
った。予め打ち合わせしていた場所、玄関を入ってすぐの正面の壁
に取り付けてもらう。客になったつもりで、玄関から作品を観た。

「店が明るく、格調高くなったように感じます」と言うと、ヒルカ
ワさんは御礼を口にされた。それはこちらも同じ気持ちだ。

絵によって、空気が動き出す。感覚が呼び起こされる。
多くのお客様に見ていただきたい。

2021.0118