年に2度、コロナ禍でも開催される京都・大原種苗さんの展示会は、
出展社は減少したものの来場者は多く、盛況に終わった。

当社もご注文を受ける用紙が山になり、かつてないほどの好成績に
なった。悩むべきは『製造が追いつかない』、この1点である。

何でもネットで手に入る時代だけれど、業界の状況や小耳に挟んだ
情報など、人の交流は実際に会ってこそと思う。


前夜は、昔の勉強仲間が京都に逗留されていて「一晩くらいは」と
ご一緒願った。主人と共に、高瀬川沿いの料理屋で待ち合わせる。

M先輩はなんと、主人とお揃いのセロニアスモンクの写真入りの赤
いTシャツ(ユニクロ製)をお召しでの登場だった。こんな偶然て
ある?それまでFacebookにはお互い一文字も書いてなかったのに。

お土産をくださるM先輩に対し、主人のプレゼントは着ているTシ
ャツと同じものだったので、残念がることこの上なかった。

京都は蔓延防止条例のため飲食店の酒類提供を禁じていた。板わさ
をノンアルコールの清酒で呑むなんて、初めての体験に違いない。

それでも数年ぶりの宴会は楽しく、寛ぎと居心地の良さに酔った。

高瀬川べりも鴨川べりも、夜の8時9時でお開きになった人たちが所
在なさげに座っていた。二次会はおろか、喫茶店すら営業していな
い。目の前を歩くサギを見ながら、逢瀬の名残を惜しんだ。


会期中、京都のお得意様が「休業して補償を受ける店が多い。補償
金で店を改装すれば、改装費の3/4が助成金として入るので、お金の
使い道に困ってる」なんて話されるのを夢物語のように聞く。

様子を窺って籠る人との差が、とてつもなく開いている気がした。

2021.0808