桜の開花は昨年に比べて1週間遅かったが、一気に気温は上がる。

頭上の満開の桜の木に鳥が飛んできた。羽ばたく時に枝がしなると、
花びらがいっせいに散って花吹雪になる。蜂の羽音。あたたかな陽
射しと柔らかな風。水仙と、甘い雪柳の香り。近くの小学校から子
どもたちの声。それらが懐かしい想い出を連れてくる。

「左手を前に吸って、上に上げて吐いて、吸って、ぐるっと後ろに
回して吐いて~」先生の声に従い気功の『洗肩』をする。

右手の掌に花びらが落ちてきて、くすぐったい。いいなぁ。

休日の過ごし方を計画するとき、昼間を貴重に思って夜の教室にし
ていたけれど、太陽が降り注ぐなかの気功は思いのほか価値がある。


高槻市内は甲賀より季節が進み、新緑が初夏の風情をみせていた。

古袱紗で唐物と茶匙を清める『真行台子』の稽古をする。床の間に
は、葉の上に緑色の小花が咲くハナイカダと、紫のツルニチニチソ
ウ。ハナイカダは、実を結ぶと玉が乗ったようになるのが愛らしい。

桜餅をいただきながら、両脇にお座りの方の話を聞くともなしに聞
く。Sさんが「神社参拝で階段を昇り降りしたら息切れした。コロ
ナ禍でこんなにも身体が衰えているとは」。Nさんは「私もここま
で片道10分の徒歩だが、暑いしヘトヘトになる」とお応えになった。

思わず「マスクから鼻を出してましたか」と聞くと、二人とも首を
横に振られた。「酸素欠乏症の方が怖いです。新鮮な空気を吸うこ
とを念頭において生活してください」と医者でもないのに断言する。

見た目は涼し気な白地のきものにしたが、袷なので暑い。炉端にい
ると汗ばんだ。来る三度目の夏のマスク生活を憂える。

2022.0418