去年の9/1に大根の種を蒔いたのが、私の畑デビューだった。あと
は茄子と唐辛子などを採りに行くだけ。なのに面倒な気がしてた。

先日、母が畑仕事の引退宣言をした。あきらめと寂しさを伴って。

家から1km離れた畑と、目と鼻の先に住む長男の家の畑を今後どう
するか。長男は多忙な毎日だが、野菜を作りたい気持ちはあるよう
だ。夫は草刈りならするよと申し出てくれた。

妹は「私も手伝うから畑しようよ」と言ってくれる。どうしようか
な。いつの間にか妹は、色々な野菜を上手に育てる人になっていた。


とりあえず、大根だけは植えると約束した。地下に成長するので虫
と雑草の心配はないし、水やりもしなくていい。大根の料理のレパ
ートリーは多いし、秋から春先まで食べられるから。

土曜の朝6時過ぎ、母の記した畑の手順を書いたメモを手に、夫と
準備をしていると、「やっぱり私も行くわ」「大急ぎで着替えるの
で少し待って」と母が玄関にあらわれた。3人でクルマに乗り出発。


私が土の上に肥料を撒いて、夫がスコップで耕し、母が土を均す。
母の振るう鍬が軽く見えるのは、長年やってきた証しなんだろうな。

種を蒔いてから、里芋にも肥料を与える。夫は今まで毎年、里芋を
食べてきたけれど、里芋の葉がこれだと初めて知ったようだ。

私たちは小一時間で終わって出社した。そのあと、長男も畑の作り
方の指導を仰いで、自宅前の畑に大根の種を蒔いたという。


夕食時、「本当は畑仕事がしたいの。私、畑が好きなんだな」と、
いつもより大きな声で母は言った。家族総出で畑を引き継いだよう
な今日の出来事が嬉しかったのだと思う。

2022.0908