ヤエさんは、約30年前に見知らぬ爺さんから龍の絵をもらい店に飾
っていた。数年前に別のオジサンが見て「これは鞍馬の奥の院の龍
だね」と言ったそうだ。今年は是非行きたい。良ければ一緒にと誘
ってくれたので、鞍馬に行ったことのない私は二つ返事で承諾した。


暖かな陽射しの日になった。鞍馬寺前を10:40amに出発。歩き出す。

おしゃべりが忙しくて、ケーブル乗り場への道でないことに気づく。
ならば、つづら折りの道を上るしかない。休み休み山頂を目指した。

本殿前の庭の中央に三角の図形があって、ここに立つと宇宙と繋が
るというので立ってみる。お守りや御朱印を買ってから、杖を借り
て、さらに険しい山道の約1km先の奥の院を目指す。

鞍馬山は極相林だけあって、手つかずの自然の空気が満ちていた。

本殿で引き返す人が殆どで、奥の院まで歩く人は少ない。そのなか
で外国人比率が多いのは不思議だった。やっと着いた。立派な社だ。

ここが最後と小銭を全部賽銭箱に入れて参拝。ふと横の立て看板に
眼をやると『奥の院←』が。ここじゃないのかぁ。再び歩く。


これ?意外にも小さく古びた祠だ。龍の絵も字も何も無い。椅子に
座って休憩する。突然、祠に巻かれた布がうねうねと動き、まるで
龍が動いているように見えた。鳥肌が立ったと囁き合う。風かなぁ。

そこへブロワーを持った掃除係の男性が来たので「ここは何が祀っ
てますか」と聞くと、魔王尊と毘沙門天などの答え。「龍は関係な
いのかな」と言うと「あぁ、ボクは見えませんが、龍を見たという
参拝客の方はよくいらっしゃいますね」とおっしゃった。・・・。


狐につままれた気分で来た道を戻りケーブルで下山。14:00pm着。

2024.0208