数年前、京都の『和久傳』で昼食をとった際、焼いた万願寺とうが
らしに”かつを節”をかけた一品が出た。都会に住む三十歳代の男
性は感激したが、朝、同じものを食べて来た私はがっかりだった。

それでも、とうがらしは食べ飽きることのない大好きな野菜だ。母
の作る畑で、この類だけは私が収穫する。まだ夏の陽射しの残る日
曜日、数本の枝からバケツ1杯分は摘み取った。

旬は、瑞々しい実が成っている限りその期間と思う。霜が降りれば
枯れるので、そう遠くない日にお終いだろう。


「蜘蛛の巣が多いから気をつけて」と言ってもらい、恐縮する。多
いと感じるが決して口外しないのは、原因が私かも知れないからだ。
 
朝露の光る巣、太陽に反射する艶やかな糸の美しさ。様々な模様と
形。小学6年生の夏休みの自由研究に蜘蛛を選んだ私は、神社や寺
の周辺で採集しては自宅の庭や畑に放す、を繰り返したのだ。

この蜘蛛の名前はとうに忘れたけれど、金色の糸の細かな編み目を
中心にして、前後にざっくりした白い糸を張る3段式の巣は、一番
気に入っていたヤツだ。何代目かの末裔だと思うと、少し愛おしい。


美味しかった、万願寺とうがらしを使った料理2品。一つめは、細
くて詰めにくいが、ピーマンの肉詰めと同じ要領で作り”柚子胡椒”
でいただく。『和久傳』で出されてもオカシクない上品な味!

二つめは、縦に切れ目を入れ、熱湯で茹でザルに上げる。微塵切り
の玉葱とトマトペーストを炒め、オレガノなどで味付けし、これに
チーズを混ぜ合わせ詰めて、大蒜とオリーブオイルで焼いたもの。


今夏、幾ら好きでも手が出なかったのは、このアイスクリームだ。

2007.1028