「あなたが展示会場に行きなさい。会社に居るより行くべきだ」と
ハニワさんが何度も言うものだから、車で名古屋へ向かう。

ハニワさんというのは、随所に私を励ましてくださる遠方の方だ。
「お元気ですか?」と電話があって、別にどうってことない話で終
わるのだけれど、毎回、背筋が伸びて明るい気持ちになる。


会場に着くと、二村さんは実家に前泊したせいか、ご機嫌麗しい。

パリッとしたスーツを着ている。「それ、新調した?」と聞くと、
9800円だと言う。「上下で!?」「スーツは通常上下組みです。」
着こなしが上手いから、とても似合っている。


さて、展示会場に入っても一日自社の場にいるわけではない。まず
隣のブースの人と、次に会場を歩いて話しかけられた人と情報交換
する。そんな私の行動を、ハニワさんは知ってのことかしら。


9枚の社長さんの名刺が集まった。その中の”日本野鳥の会”会員
でもある細野康夫さんに、野鳥の生態を聞いた。

「野鳥で卵を産む為に巣箱を必要をするのは、シジュウカラとヤマ
ガラで、親鳥は一日300〜500匹の毛虫を巣箱に運ぶ」話に驚く。
そんなに毛虫っているんだ!

東京から一人で来ている細野さんは、昼食をとる間、店番をお願い
したいとおっしゃった。喜んで引き受ける。何種類もある木製巣箱
の前で、お客様がいらした時は立ち話で学んだことを披露した。


撤収後、出張した際には立ち寄ると約束した方たちに別れを告げる。

「モノ売りになるな、自分をアピールしろ」とハニワさんは言った
けど、こんなんでいいのだろうかと思う帰り道だった。

2009.0422