主人のたっての希望で、大阪中之島美術館へ佐伯祐三を見に行く。
開館一周年記念だけに、集められた絵画は圧倒される数だった。

30歳で夭折。短い人生ながら、佐伯祐三の軌跡はドラマティックだ。

寺の次男・祐三は、兄の婚約者・大谷菊子の紹介した池田米子と恋
愛する。父は死ぬ直前に、兄と次男のそれぞれの結婚を許す。なの
にその年、大谷菊子自殺。って、どうした菊子!じっくり読むと、
先に進めないほど濃い系譜だった。


長浜市の『湖のスコーレ』にも行く。ここの書店が素晴らしい。

新刊と古本コーナーがあり、どちらも面白そうな本が並んでいる。
琵琶湖に関する本も揃っていて、そこから「琵琶湖の森の40万年史」
を、前から注目していた高山なおみは新刊を選ぶ。主人は古本を二
冊手に取った。近くにあったら二週間に一度は通うだろう。


母の衣裳部屋兼物置を改装することになった。伴い、妹と衣類など
の整理をする。妹が通って沢山処分してくれたが、まだまだある。

背が低い上、老いている。マキシ丈のスカート、毛布のようなコー
ト、黒レースとロング丈の礼服などは二度と着るまい。黙って捨て
る。その後に、妹は「これ着ますか?」と一枚一枚、母に聞いた。

幸せな時に着ていた服は、その想い出が蘇る縁なのだろう。

たいていは捨てないが、次第に母は「もう判断がつかない」「私の
じゃないわ」と言うようになり、それらをゴミ袋に入れた。

母が作った幾体かの日本人形は、改装後の部屋に飾ればいいと、仮
置きに奥の間へ運ぶ。ところが妹は、人形供養寺のお焚き上げの日
を調べていた。大事にする点が妹とは違うのだと思う。

2023.0518