夜にクルマを運転した時に対向車のライトがまぶしく、特に左目が
見にくくなった。かかりつけの眼科で診てもらうと、白内障と診断
されたので、ご紹介の大津市のM眼科で手術を受けることにした。

大きくて清潔な病院、親切で笑顔のスタッフが大勢いらして、不安
は減る。片目づつ、一週間を挟んで手術日の予定が組まれた。

でも、入院は次男の出産以来なので心細い。一泊入院を選んだので、
点眼をしてもらう小一時間は、個室で夫と話して気を紛らす。

まず左眼の手術。診察台が後ろに倒れて目にシールを貼られる。リ
ラックスボールを両手に握る。軽快な曲が流れていたのに、手術が
始まると不協和音の曲に変るのは何で?と思う。余計に怖くなった。

強い光が眼球に当ると身体がこわばる。「四つの光を追ってくださ
い」の声に従う。光を追っているうちに終了。10分間程度だった。


左眼だけでも見える世界は一変した。なんて明るいんだろう。よく
見えていたはずの右眼は、裸眼のせいかぼんやりと薄暗い。

右眼の手術日。要領は分かったので、送ってもらって一人で入室。

「今日は乱視入りレンズなので焦点を合わせるため、先週よりは調
整の時間がかかる」と先生。その肝心な場面で、また不協和音の曲
になる。赤い光が三度目で小さな点になった。「終わりました」。

入院患者の夕食は、先生のお母様が60年間作っていると聞いた。と
ても美味しい。自ら運んでくださったので、少しおしゃべりする。
明治生まれの舅さんから、執刀した先生は三代目。息子の腕自慢で
はなく、終始「医学の進歩は目ざましい」ことを強調された。

夜、窓の向こうの、大津祭のお囃子の稽古を両目で見る。

2023.0918