一文字の『瀧』には、勢いよくほとばしる水しぶきを連想させる清
涼感があった。掛け花は、吾亦紅、風船葛、蓼。

久しぶりの茶道の稽古は、七事式の「花月・二種濃茶」だった。

花月というのは、引いた札に応じて皆が役割を果たし、一つの稽古
を成す。くじ引きのようなものだから、「花」の札を引くと、すぐ
に移動して点てねばならない。茶を飲む役は「月」の札を引いた人。

万遍なく全員に当たるよう、札の入った「折据」が廻ってくるので
呑気にしてはいられない。都度の上座下座への挨拶も欠かせない。

けれど、日がな一日没頭できるのは幸せだ。頭に残る些末な問題が
自然に解決したりするのは、こういう時間の賜物ではないかと思う。


昼休みに『淡交』8月号を受け取る。今、人気のNHKTV「あんぱん」
の"のぶさん"が裏千家の茶道に熱心だった処を読む。脚本通りの
方ならさもありなん。賢くて几帳面で熱心なら無敵の先生だよね。

思ったより万博人気が高まっている。先生は三回行かれた。妹は、
来週二回目を行く。前評判や想像以上に良いらしい。なんとなく、
一度くらいは行っておかねばならないような気がしてきた。


茶道の先生から預かったものを、陶芸家・山田浩之宅へ届けに行く。

裏庭にある窯へ案内されると、山田さんちに居候して二ヶ月になる
21歳のフランス人のエマちゃんも居た。

窯から出した器が並べてあった。師匠の教えがいいのか、エマちゃ
んの天性のチカラなのか、とても佳い出来で驚く。高台の削りもき
れいで丁寧。適度な重さ、適度な薄さ(薄い方が好みなので)。

あと数日で帰国らしい。素晴らしく貴重な時を過ごされたと思う。

2025.0828